とく暮れよ
気が付けば年の瀬です。
先日、再放送のコント番組を観ていて慄然とすることがありました。幾人もの芸人がわーっと集まるシーンに、自ずと「こんなの流したら視聴者から『密だ!』って怒られるんじゃないか?」と思ってしまっていたのです。気が付かない内に、意識はそこまで変わっていました。恐ろしいことです。
本当に、こんな年になるとは思っていませんでした。
新型コロナウイルス感染症は、未だ治まる気配を見せずに猛威を振るっています。
私が今年の2月にSNSを始めたのは、新刊告知を含めて色々なイベントに参加する予定があったからでした。しかし、それらは全て延期、もしくは中止となってしまいました。
いつ治まるのか。それとも、ずっとこのままなのか。
いずれにせよ、気をつけながら生きていく他に道もないのでしょう。仕方ありませんね。
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さて、来る2021年のお話です。
情けない話、2020年は伊吹亜門としての新作を世に出すことが出来ませんでした。色々とあったことは事実ですが、それでも不徳の致すところです。その分、来年は多作の年としたいものです。頑張ろう。
2021年2月には、《明治京洛推理帖シリーズ》の新作長篇『雨と短銃』が東京創元社から刊行されます。幕末の京都が舞台となる本格ミステリ長篇なのですが、詳しい内容はまた日が近付いたら。ご期待下さい。
それに、今年取り組んでいた新しい時代、新しい舞台のミステリ長篇や、江藤新平が京都でアレコレする短篇などもお届け出来るかも知れません。出来るように頑張ります。
色々なことがあった一年でした。
厭なこともありましたが、長篇を仕上げられたことで何とか釣り合いは取れたような気がします。今年はどんな年だったろうと考えた時、まず浮かんだのが楽しい思い出だったなら、それは幸せな一年だったと云えるんじゃないでしょうか。来年はそうなるようにしたいものですね。
とく暮れよことしのやうな悪どしは 小林一茶
皆さんも寒さとコロナには気をつけて。来年も伊吹亜門をよろしくお願いします。