【新作告知】「だから棄てゝと云つたのに」
2024年06月03日
――私が愛した黛千鶴を、これ以上千鶴に穢して欲しくなかった。
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講談社の会員制読書クラブ"Mephisto Readers Club"で開催中の企画《だから捨ててと言ったのに》に、「だから棄てゝと云つたのに」という掌編を寄稿しています(ややこしいですね)。
書き出しの1行を「だから捨ててと言ったのに。」で固定し、2行目以降からはそれぞれの作家が自由に書き進めるというこの企画。伊吹亜門は満州を舞台とした倒叙ミステリに挑戦しました。女性が犯人の倒叙ミステリを書くのは、『刀と傘』(創元推理文庫)収録の「桜」以来だったりもします。
女学校では同級生だった新進気鋭の女流作家とその秘書。支え合いここまで突き進んできた二人の歯車はどこでずれてしまったのか。そして、完璧と思えたこの犯罪に、探偵・月寒三四郎が違和感を抱いた点は何だったのか。お楽しみ頂ければ幸いです。