【新刊告知】『名探偵(あるいは入舟家)の一族』
「人間のこころはおもしろい。歓楽きわまって哀傷の生ずることもあれば、かなしみの極致に、ホンノリしたうれしさが同居していることもある」
山田風太郎『十三角関係』
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2022年3月から双葉社の月刊誌『小説推理』(2024年10月からは『WEB小説推理』)にぽつりぽつりと掲載してきました《歴史×海洋》ミステリの連作が一冊に纏まりました。
承和4(837)年、夏
漂流する遣唐使船の一室で比叡山の老法師が扼殺される。難破船にあっては皆の心の支えでもあった高僧を果たして誰が、また何の目的で殺したのか?
遣唐使船は西へ 《遣唐使准判官 入舟清行》
天正18(1590)年、秋
堺の港に停泊中の大安宅船にて伊予の水軍大名が殺された。その傍らでは、どういう訳か天下の名器と謳われる黒樂茶碗の「朧」が無惨に打ち砕かれていた。
黒樂茶碗 朧 《堺政所 入舟清成》
嘉永2(1849)年、夏
尾張藩領師崎村の砂浜に人魚と思しき奇怪な屍骸が流れ着く。幕府より派遣された書物奉行の入舟清光は、その裏に隠された途方もない計画を見抜くのだが……。
霧の岬の男 《書物奉行 入舟清光》
昭和20(1945)年、夏
二五〇キログラムの爆装を仕込んだベニヤ製小型モーターボートの水上特攻艇〈震洋〉。那智鳩平海軍中尉はそんな第一四七震洋特別攻撃隊の隊長として青森県西津軽郡の鱶姥村に着任する。当地には〝老僧の祈念によって津波が消えた〟という奇妙な伝承が残っていた。
大洋を震わす 《海軍少佐 入舟清四郎》
平成9(1997)年、夏
房総半島南部の鄙びた漁村、鱧戸村で、分限者の魚棚賀一が崖から転落して死亡した。賀一は死の間際、娘婿にこんな言葉を遺していた――「祠を壊せ、嵐の夜に」。
魚棚家の崩壊 《推理小説家 入舟清乃》
平安時代の遣唐使船、戦国時代の安宅船、江戸時代後期の異国船、太平洋戦争末期の特攻艇に平成の***。どれも私が好きな〝その時代だからこそ成立する本格ミステリ〟を目指しました。子々孫々に至るまで謎解きの血を脈々と受け継ぐ入舟一族の推理をお楽しみください。
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それでは次回作、傲岸不遜な司法卿とその忠実な部下にして友人である旧尾張藩士の、限りあるミステリ・ライフでお会いしましょう。
